茨城県立日立第一高等学校・付属中学校

第4回 | 選定地

東滑川海浜緑地

[所在地] 茨城県日立市 [面積] 1,000㎡ [活動開始] 2011年6月

 東滑川海浜緑地は、数多くの洞穴があり、そのいくつかに水面全体を鮮やかな黄金色で覆ったヒカリモによる膜が観察されます。ヒカリモの生態はとても不思議で、5μm(100万分の1mm)ほどの小さな淡水生の単細胞生物が、水中にいるときは鞭べん毛で泳ぎ、黄金色の膜を観察すると疎水性の柄を持って水面に立ち上がっています。東滑川海浜緑地のヒカリモは、冬場も黄金色の膜が観察される数少ない群生地で、一年中観察でき、定期的な発生地の北限とされています。本校は「日立市公園里親制度」に参加し、日立市の協力を得て保護・研究に努めています。
 「ヒカリモの不思議な生態」「津波の被害をのりこえたヒカリモの能力を探る研究」の研究テーマで、大学・学会等で発表し、高い評価を受けました。また、本校附属中学生や地元NPO団体に対して現地観察会なども実施しています。
 ヒカリモの主な生殖方法は、無性生殖と考えています。無性生殖を行う生物は、環境条件が適しているときは効率よく個体数を増やすことはできますが、環境の変化に弱いです。つまり、公園内の生態系が変化したとき、一番敏感に反応するのはヒカリモだと考えられます。ですから、ヒカリモを保護することは、公園全体を保護することにつながります。

公園内には、人為的に作られた数多くの洞穴があり、泥、枯葉、雨水が溜まっています
わずかに入る光を反射し、水面が黄金色の金属光沢を呈し、幻想的な輝きを見せます